by ヒノデAIシステムテクノロジー経営サポート
※この記事は2回シリーズの前編です。後編では「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」に特化してご紹介します。
「補助金って申請が難しそう」「どれが自分の工場に使えるのかわからない」
そんな声をよく聞きます。
自動車整備業向けの補助金といえば、自動車整備振興会からの通知でご存じの方も多いスキャンツール導入補助金がよく知られています。ただ、それ以外にも小規模な整備工場で活用しやすい補助金はいくつかあります。
今回は、スキャンツール補助金以外で使いやすい3つをご紹介します。申請のハードルや使える用途も合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

補助金を受け取る仕組みについて
まず、補助金・助成金に共通する大事なポイントをお伝えします。
補助金は「後払い」が基本です。
設備の購入やサービスの利用にかかった費用は、いったん全額を自分で支払う必要があります。その後、実績報告を行い、審査が通って初めて補助金が口座に振り込まれる流れです。
「補助金が出るから費用はかからない」というわけではなく、一時的に手元のお金が必要になります。資金繰りの計画を立てながら活用しましょう。
GビズIDの取得について
多くの補助金の申請には、GビズID(政府が運営する事業者向け共通認証システム)が必要です。
GビズIDは無料で取得できますが、申請方法によって取得までの期間が異なります。「申請しようと思ったのに間に合わなかった」とならないよう、補助金の活用を少しでも検討しているなら、今すぐ取得申請を始めることをおすすめします。
必要なもの
マイナンバーカードがある場合(オンライン申請・最短即日)
- マイナンバーカード本体
- NFC対応スマートフォン+GビズIDアプリ
- SMS受信できる電話番号
- パソコン
マイナンバーカードがない場合(郵送申請・原則2週間以内)
- 印鑑登録証明書(市区町村発行・3ヶ月以内の原本)※個人事業主の場合
- GビズIDプライム登録申請書(サイトで作成・印刷)
- 実印
- パソコン
申請の流れ(郵送の場合)
- GビズIDサイトで申請情報を入力・申請書を印刷
- 実印を押印し、印鑑登録証明書と一緒に郵送
- 審査完了メールを受け取る(原則2週間以内)
💡 マイナンバーカードがあれば最短即日で取得できます。 まだお持ちでない方は、GビズIDの取得と並行してマイナンバーカードの申請も検討してみてください。
GビズID申請サイト:https://gbiz-id.go.jp/
補助金① デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
公式サイト:https://it-shien.smrj.go.jp/
どんな補助金?
業務効率化・デジタル化を目的としたITツールの導入費用を補助する制度です。経済産業省が所管し、毎年複数回の公募が行われています。
以前は「IT導入補助金」という名称でしたが、近年はAI活用も対象となり「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変わっています。
補助の内容
- 補助率: 1/2〜3/4程度(枠により異なる)
- 補助上限: 数十万円〜数百万円(枠・類型により異なる)
- 対象ツール例: 予約管理システム、顧客管理システム、会計ソフト、勤怠管理ツールなど
整備工場での活用例
- 顧客・整備履歴の管理システム導入
- クラウド会計ソフトへの移行
- オンライン予約システムの導入(営業時間外の予約受付対応)
直近のスケジュール(2026年度)
- 第1次締切:2026年5月12日(火)17:00
- 交付決定予定:2026年6月18日(木)
- 事業実施期限:2026年12月25日(金)
- 2次締切以降は確定後に公式サイトで公表予定
申請の難易度:比較的やさしい
この補助金の大きな特徴は、「IT導入支援事業者」と呼ばれる登録ベンダーが申請をサポートしてくれる点です。導入するシステムのベンダーと一緒に申請を進める仕組みになっているため、他の補助金と比べると手続きの負担が少なく、初めて補助金を申請する方にも取り組みやすい制度です。
ただし、対象となるのはあらかじめ登録されたITツール(登録ベンダーの製品)に限られます。導入したいツールが対象かどうかを事前に確認しましょう。また、公募期間が限られているため、タイミングを逃さないよう注意が必要です。
補助金② 小規模事業者持続化補助金
公式サイト:https://www.jizokukanb.com/jizokuka_r6h/
どんな補助金?
小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む費用を補助する制度です。商工会・商工会議所のサポートを受けながら申請できるため、補助金の中では比較的手続きが簡便なことで知られています。
対象となる事業者の規模
ここは重要なポイントです。自動車整備業は日本標準産業分類上「サービス業」に分類されるため、対象となる小規模事業者の要件は以下のとおりです。
常時使用する従業員が5人以下
「常時使用する従業員」のカウントについて
この人数の数え方には注意が必要です。
- 個人事業主本人・同居の親族 → 含まれない
- 法人の役員(従業員を兼務していない) → 含まれない
- パート・アルバイト → 所定労働時間が正社員の3/4以下であれば含まれない(フルタイムに近い勤務の場合は含まれる)
- 日雇い・2ヶ月以内の短期雇用 → 含まれない
「パートを数人雇っているから対象外かも…」と思っていた方でも、勤務時間によっては要件を満たしている場合があります。不明な場合は商工会・商工会議所に確認してみてください。
補助の内容
- 補助率: 2/3
- 補助上限: 50万円(通常枠)※特別枠はより高額
整備工場での活用例
地域の新規顧客向けチラシの作成・配布が最もストレートな活用例です。
- 新聞折込チラシの作成・掲載費用や地域へのポスティングチラシの印刷・配布費用
- 店舗改装
- ホームページの作成
注意点(重要)
この補助金は「新たな販路開拓・新規顧客の獲得」を目的とした取り組みが対象です。
既存のお客様への車検・点検案内ハガキは対象外となる可能性が高いので注意が必要です。既存顧客への定期案内は「営業活動・顧客維持」とみなされ、補助対象外と判断されることがあります。
チラシであっても「新規顧客向け」であることを事業計画書にしっかり明記することが採択のポイントです。
直近のスケジュール(第19回・2026年度)
- 様式4(事業支援計画書)の発行受付締切:2026年4月16日(木) ← 商工会・商工会議所での手続きが必要
- 申請受付締切:2026年4月30日(木)17:00
- 補助事業実施期限:2027年6月30日(水)
⚠️ 今回の締切まで時間がありません。 様式4は地域の商工会・商工会議所での発行が必要で、その受付締切は4月16日です。申請を検討されている方は、今すぐ最寄りの窓口にご連絡ください。
申請の難易度:標準的
事業計画書の作成が必要ですが、商工会・商工会議所の担当者が無料でサポートしてくれます。はじめて補助金に挑戦する方でも、窓口に相談しながら進めることができます。
補助金③ 業務改善助成金
どんな補助金?
厚生労働省が所管する助成金で、生産性向上のための設備投資と、事業場内の最低賃金の引上げをセットで行った場合に、設備投資費用の一部が助成される制度です。
助成の内容
- 助成率: 75〜80%
- 助成上限: 最大600万円(引上げ額・人数により変動)
- 対象設備例: 整備機器、リフト、診断機器、PC、工具類など
整備工場での活用例
- リフトや整備機器の新規導入・更新
- 診断機器・工具類の整備
- 事務用PC・タブレットの購入
注意点
この助成金は賃上げとセットが条件です。事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げることが申請要件となっています。「設備だけ欲しい」という場合には使えません。ただし、近年は最低賃金の引上げが社会的なテーマとなっており、賃上げを検討している工場には一石二鳥の制度です。
また、申請から設備導入・賃上げ実施まで、期限内に完了する必要があります。スケジュール管理に注意しましょう。
直近のスケジュール(2026年度)
- 受付開始:2026年9月1日(予定)
- 受付締切:地域別最低賃金の発効日前日または2026年11月末日のいずれか早い日
- ※令和8年度より申請期間が秋(9月〜)に集約される形に変更
申請の難易度:やや手間がかかる
申請書類の準備に加え、賃金台帳や就業規則など複数の書類が必要になります。ただし、最寄りの労働局・ハローワークの窓口で相談しながら進めることができます。初めての方は早めに窓口に問い合わせることをおすすめします。
まとめ:3つの補助金の使い分け
| 補助金名 | 主な用途 | 申請難易度 |
|---|---|---|
| 【デジタル化・AI導入補助金】 | 予約・顧客管理システムなどのITツール導入 | 比較的やさしい(ベンダーがサポート) |
| 【小規模事業者持続化補助金】 | 新規顧客向けチラシ・集客施策 | 標準的(商工会が無料サポート) |
| 【業務改善助成金】 | 整備機器・設備導入+賃上げ | やや手間がかかる |
補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではなく、採択審査があります。事業計画の書き方や申請タイミングが重要ですので、各制度の窓口に相談しながら進めることをおすすめします。
補助金をうまく活用して、一歩先の経営を目指していきましょう!
次回予告:【後編】整備工場の次の一手の切り札!中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)を徹底解説
前編でご紹介した3つの補助金は、広告・集客やITツール・設備投資に幅広く使えるものでした。
後編では、「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」に特化してご紹介します。この補助金は2025年度から整備業向けの対象カテゴリが追加され、自動車整備振興会にアドバイザーが配置されるなど、整備工場にとってまさに今注目の制度です。
- カタログ注文型ならではの「選んで申請するだけ」の仕組みとは?
- 整備工場で対象になる機器・設備の具体例
- 申請の流れと振興会サポートの活用方法
次回もぜひご覧ください!