貴社の代車、レンタカー登録していますか?
もしまだレンタカー登録をしていないなら、事故対応のたびに保険会社との交渉で損をしているかもしれません。さらに言えば、代車費用をいただいている場合は、知らず知らずのうちに無許可営業になっているリスクさえあります。
整備工場の代車は、レンタカーとして登録するだけで「収益を生む資産」に変わります。許可の取得は思ったよりも難しくありません。レンタカー業の申請は、行政書士などに頼むことが多いですが、実はご自身でも申請ができてしまいます。
この記事では、申請方法から日々の運用管理まで、現場目線でわかりやすく解説します。行政書士に頼む場合でも、ご自身で申請する場合でも、登録の流れや必要事項は事前に把握しておくとスムーズです。
まだレンタカー登録をしていない整備工場様はぜひ一度目を通していただいて、ご参考にしていただければ幸いです。
💡 行政書士への依頼について:貸渡約款の作成や書類の整備は、慣れていないと意外と手間がかかります。書類の不備で審査が延びるくらいなら、最初から専門家に頼むのも賢い選択です。
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1. そもそも「代車」と「レンタカー」は何が違うの?
普段何気なく「代車」として使っている車と、「レンタカー登録された車」。見た目はほとんど変わりませんが、法律上の扱いはまったく異なります。
- 代車(無償):整備中のお客様に無料で貸し出す車。整備サービスの一環。
- 代車(有償・未登録):料金を取って貸し出す場合、「自家用自動車有償貸渡業」の許可なしには違法になります。
- レンタカー(有償・登録済):国土交通大臣の許可を受け、「わナンバー」で登録した車。有料で貸し出せます。
つまり、現状でもお客様から代車費用を受け取っている場合は、すでに許可が必要な状態かもしれません。この機会に整理しておく価値があります。
2. 整備工場がレンタカー登録をするべき3つの理由
① 事故代車費用を保険会社に請求できる
整備工場にとって最大のメリットがこれです。
お客様が事故に遭い、修理期間中に代車を提供した場合、その代車がレンタカー登録されていれば、相手方の保険会社にレンタカー費用として請求できます。
登録されていない代車では、保険会社は「正式なレンタカーではない」として支払いを拒否したり、減額したりすることがあります。レンタカー登録があれば、日額料金の根拠が明確になり、交渉がスムーズになります。
事故対応の代車は長期になることも多く、この差は大きいです。
② 代車費用をお客様に正式に請求しやすくなる
車検や修理のたびに「代車はサービスで」と無償提供してきた工場も多いと思います。しかしレンタカー登録をすれば、料金表に基づいた正式な貸し出しとなり、費用の請求がしやすくなります。
「レンタカーとして登録しているので、1日〇〇円いただいています」と説明できれば、お客様も納得しやすくなります。無償サービスをやめることへの心理的ハードルも下がります。
③ 下取り車・古い社有車を収益化できる
これは整備工場ならではの強みです。
整備工場には、下取り車や使わなくなった社用車が手元に入ってくることがあります。こうした車をレンタカーとして登録し、修理待ちのお客様や短期間の車が必要な方に貸し出せば、ただ置いておくだけの車が収益を生む資産に変わります。
たとえば、5〜10年落ちの国産コンパクトカーでも、1日3,000〜5,000円程度で貸し出せます。月に10日稼働するだけで、月3〜5万円の収入です。保険料や整備費を差し引いても、十分ペイできるケースは少なくありません。
さらに、ある程度使った後は中古車として売却できるため、仕入れ→レンタカー運用→売却というサイクルで効率よく活用できます。

3. レンタカー許可を取るための3つの要件
許可を申請する前に、以下の3つの要件を満たしている必要があります。特に難しい要件はありませんが、必ず必要になりますので、しっかりと確認しておきましょう。
① 人の要件(欠格事由に該当しないこと)
申請者および役員が、次のいずれにも該当しないことが必要です。
- 1年以上の懲役・禁錮刑を受け、執行終了から2年未満の者
- レンタカー事業や旅客・貨物運送事業の許可取消しを受け、2年未満の者
- 未成年または成年被後見人で、法定代理人が上記に該当する者
ほとんどの整備工場オーナーは問題ないはずですが、確認しておきましょう。
② 物の要件(営業所・車庫の確保)
- 営業所:市街化調整区域など、事務所として使えない地域でないこと
- 車庫:貸渡車両を全台収容できる広さがあり、営業所から直線距離2km以内であること
整備工場であれば、すでに工場の駐車場・車庫があるケースがほとんどなので、この要件はクリアしやすいです。
③ お金の要件(自動車保険への加入)
資本金や預貯金などの財務要件はありません。ただし、営業開始前までに貸渡車両に以下の補償額以上の任意保険へ加入することが義務付けられています。
| 保険の種類 | 最低補償額 |
|---|---|
| 対人保険 | 1人あたり8,000万円以上(無制限推奨) |
| 対物保険 | 1件あたり200万円以上(無制限推奨) |
| 搭乗者保険 | 1人あたり500万円以上 |
💡 最低額はあくまで下限です。対人・対物は無制限にしている事業者が大多数です。レンタカー専用の任意保険商品もありますので、保険会社に相談しましょう。

4. 申請に掛かる費用と流れと必要書類
申請にかかる費用
まずは、申請にかかる費用を押さえておきましょう。基本的に必ずかかる費用は登録時の登録免許税9万円と、登録完了後にレンタカーのわナンバーに変えるためのナンバー変更費用です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 9万円(許可取得後に納付) |
| 行政書士への依頼費用(利用した場合) | 5〜15万円程度(目安) |
| わナンバー変更登録費用 | 数千円〜(車両1台ごと。運輸支局もしくは軽自動車協会にナンバー代として) |
申請の全体の流れ
① 要件の確認・書類の準備
↓
② 管轄の運輸支局のレンタカーの窓口に申請書を提出
↓
③ 審査(約1か月)
↓
④ 許可書の交付・登録免許税(9万円)の納付
↓
⑤ 車両を「わナンバー」に変更登録
↓
⑥ 営業所に料金表・約款を掲示
↓
⑦ 貸渡証・貸渡簿を準備して営業開始
申請から営業開始まで、最短でも1〜2か月を見ておきましょう。書類に不備があると審査が延びます。
「わ」ナンバーへの変更登録について
許可書を受領し登録免許税を納付すると、運輸支局から「レンタカー事業者証明書」が交付されます。ナンバーを交換する際には、このコピーを持参(原本ではなく必ずコピーを持って行ってください)して、車両のナンバーをわナンバーに変更します。
- 普通車の場合:管轄の運輸支局(検査登録事務所)で手続き
- 軽自動車の場合:管轄の軽自動車検査協会で手続き
整備工場であればナンバー交換は日常的な作業ですので、手続き自体は難しくありません。車両1台ごとに費用がかかります(数千円程度)。なお、わナンバーに変更するまでは営業を開始できませんので、台数が多い場合はまとめて手続きしておきましょう。
必要書類一覧
必要書類の一覧と、ダウンロード先の一覧をまとめました。
申請書類(自分で作成するもの)
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 自家用自動車有償貸渡許可申請書 | 各運輸支局のWebサイトからダウンロード |
| 貸渡料金表 | 自分で料金設定して作成(許可後に変更可) |
| 貸渡約款 | 貸し出しのルールを定めたもの。 |
⚠️ 貸渡約款・料金表について:国土交通省では標準様式を定めていないため、自分で作成する必要があります。大手レンタカー会社の約款等を参考にするか、行政書士に依頼するのが現実的です。
添付書類(公的書類)
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 履歴事項全部証明書(登記簿謄本) | 法人の場合。 |
| 住民票 | 個人事業主の場合 |
申請書のダウンロード先(地域別)
2026年3月時点でのレンタカー申請に必要な書類のダウンロードページ一覧です。申請書のフォーマットは地域によって異なります。必ず管轄の運輸支局のページから最新版を入手してください。
| 地方運輸局 | 管轄都道府県 | ダウンロードページ |
|---|---|---|
| 北海道運輸局 | 北海道 | https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/bunyabetsu/jidousya/yoshiki/index.html |
| 東北運輸局 | 青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 | https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/am/am-sub08-002.html |
| 関東運輸局 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨 | https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_koutu/rent.html |
| 北陸信越(新潟) | 新潟 | https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/use/shinsei/index.html |
| 北陸信越(長野) | 長野 | https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/nagano/yusou/rent/rent.html |
| 北陸信越(富山) | 富山 | https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/toyama/pd/renta.html |
| 北陸信越(石川) | 石川 | https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/ishikawa/rental.html |
| 中部運輸局 | 静岡・愛知・岐阜・三重・福井 | https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/jikou/renta/renta.html |
| 近畿運輸局 | 滋賀・京都・大阪・奈良・和歌山・兵庫 | https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/00001_00792.html |
| 中国運輸局 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口 | https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/jidousha/renta.html |
| 四国運輸局 | 徳島・香川・愛媛・高知 | https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/soshiki/jidousya/taxi.html |
| 九州運輸局 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島 | https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/gyoumu/jidousya_k/file15.htm |
| 沖縄総合事務局 | 沖縄 | https://www.ogb.go.jp/unyu/kakusyu/unyu_kakusyu_rentaka |
貸渡実績報告書(年1回・全国共通):https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000061.html
5. 許可取得後の日々の運用管理
許可を取ったら終わり、ではありません。レンタカー事業者には、法律で定められた管理義務があります。といっても、整備のプロである整備工場にとっては、それほど難しいことはありません。
① 定期点検の実施
レンタカー車両も通常の自家用車と同様に、**12か月点検・24か月点検(車検)**が義務付けられています。ただし、整備工場であれば自社で点検・整備できるため、外部委託のコストは不要です。
なお、レンタカーは車検の有効期間が自家用車より短い場合があります(初回登録から車種によって異なります)。車検証で確認しておきましょう。
② 整備管理者・整備責任者の選任
レンタカー事業者は、営業所ごとに整備管理者または整備責任者を選任する必要があります。ただし、整備管理者(資格が必要)が求められるのは車両規模が一定以上の場合のみです。
整備管理者(資格要件あり)が必要になる場合
| 車種 | 台数条件 |
|---|---|
| 乗用車・トラックなど(定員10人以下・総重量8t未満) | 10台以上 |
| バス(定員11人以上29人以下) | 1台以上 |
| 大型トラック(総重量8t以上) | 5台以上 |
上記に該当する場合、整備管理者には以下のいずれかの資格が必要です。
- 1〜3級の自動車整備士資格を持つ者
- 整備管理者選任前研修を修了し、自動車整備の実務経験が2年以上ある者
条件を下回る場合は「整備責任者」でOK
上記の台数条件に満たない場合(多くの小規模整備工場はこちら)は、資格不要の整備責任者を選任するだけで足ります。責任者の資格要件はありません。
💡 整備工場はここが有利です:整備士資格を持つスタッフが在籍している工場であれば、整備管理者の要件も自社スタッフで対応できます。外部委託が必要な一般事業者と比べて、整備工場はこの点で大きなアドバンテージがあります。
③ 貸出時に記録すべき情報(貸渡証・貸渡簿)
国土交通省の通達(自旅第138号)では、貸渡証に記載すべき事項が細かく定められています。
貸渡証の記載事項(通達 別記2)
| 区分 | 記載内容 |
|---|---|
| 借受人情報 | 氏名・住所 |
| 運転者情報 | 氏名・住所・運転免許の種類・免許証番号 |
| 車両情報 | 登録番号(ナンバー) |
| 貸渡情報 | 貸渡日時・貸渡事務所・返還事務所 |
| 貸渡人情報 | 氏名・住所 |
| 遵守事項 | 警察等への呈示義務・運転者の労務供給を受けられない旨・事故/故障時の連絡先・2日以上の場合の日常点検義務 |
記載項目が多く、毎回手書きするのは手間がかかります。そこでおすすめの実務テクニックがあります。
💡 現場で使える時短テクニック:免許証重ねコピー
貸渡証の台紙に、運転者情報の記入欄(氏名・住所・免許の種類・免許証番号)をあらかじめ印刷しておきます。貸し出し時に台紙の上に免許証を重ねてコピーするだけで、通達が求める運転者情報の記録が一度に完了します。
残りの項目(車両番号・貸渡日時・遵守事項など)は台紙に印刷または捺印欄を設けておけば、記入の手間を最小限に抑えられます。貸渡証の書式サンプルは、この記事末尾のLINE登録で無料配布しています。
貸渡簿(事務所に備え付けるもの)には、以下を記録します。
- 借受人の氏名・住所
- 貸渡自動車の情報(登録番号など)
- 貸渡日時・返還日時・料金
- 事故があった場合はその内容
💡 Excelや専用ソフトで管理すると効率的です。紙でも問題ありませんが、万が一の調査や報告書作成の際に整理しやすい形で保管しておきましょう。
④ 年1回の報告義務(5月31日まで)
毎年5月31日までに、前年度(4月1日〜3月31日)分の以下の書類を、主たる事務所を管轄する運輸支局に提出する必要があります。なお、これらの書類は上述の運輸支局のホームページからダウンロードが可能です。
- 貸渡実績報告書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
提出方法はメール送付でも可能です。書式は国土交通省のWebサイトからダウンロードできます。
⚠️ この報告を怠ると、許可の取り消しや事業の停止処分を受けることがあります。カレンダーにあらかじめ登録しておきましょう。
6. 整備工場ならではの運用テクニック
下取り車活用サイクルを作る
整備工場には、修理・車検の際に下取り車が入ってくることがあります。販売車両には向かなそうな車両であっても車検が残っているような場合、そのまま廃車やオークションに流すのではなく、一度レンタカーとして登録して活用するのが賢いやり方です。
下取り車を取得
↓
レンタカー登録(わナンバーに変更)
↓
代車・レンタカーとして運用(数ヶ月〜1年程度)
↓
中古車として売却 または 抹消
古物商の許可を持っていれば、中古車の売買もスムーズに行えます。
⚠️ 古物商許可について:中古車を買い取ってレンタカーとして使用する場合は、レンタカー許可に加えて古物商の許可も必要になる場合があります。管轄の警察署に事前に確認してください。なお、古物商許可の取得には申請から約40日かかります。
代車との使い分けを決めておく
「無償の代車」と「有償のレンタカー」を同じ車庫で運用する場合、区別を明確にしておくことが大切です。
実務的には次のように整理すると管理しやすくなります。
- 無償代車:車検・修理中のお客様への短期貸出(費用はサービス)
- 有償レンタカー:事故代車・長期貸出・外部からの依頼(料金表に基づいて請求)
7. 申請前に確認しておきたいこと
✅ 営業所の車庫が全レンタカー台数を収容できるか
✅ 車庫が営業所から直線距離2km以内にあるか
✅ 貸渡約款・料金表を準備できるか(自作 or 行政書士に依頼)
✅ 営業開始前までに必要な任意保険に加入できるか
✅ 古物商許可が必要かどうか(下取り車をレンタカーに使う場合)
まとめ
整備工場にとってレンタカー事業は、新たな設備投資や大きなコストをかけずに始められる副業として非常に相性がよいビジネスです。特に事故代車の保険請求という観点では、既存の業務と直結するメリットがあります。
申請自体はそれほど複雑ではありませんが、貸渡約款の作成など一部ハードルが高い部分もあります。まずは管轄の運輸支局に相談し、必要に応じて行政書士のサポートを活用しながら、着実に準備を進めましょう。
代車として眠っている車が、明日からあなたの工場に収益をもたらす存在に変わるかもしれません。
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- ✅ 貸渡証サンプル(通達 別記2の記載事項対応)
- ✅ 貸渡約款サンプル(Word形式)
- ✅ 料金表サンプル(CDWあり)(Word形式)
- ✅ 料金表サンプル(CDWなし)(Word形式)
- ✅ 申請書の書き方(PDF形式)
申請書類の参考・ベースとしてご自由にお使いください。
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本記事は情報提供を目的としたものです。申請手続きの詳細や最新の規制については、必ず管轄の運輸支局または専門家(行政書士)にご確認ください。
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