前回の記事では、なぜ自動車整備工場にLINE公式アカウントが必要なのか、その理由と効果をお伝えしました。「確かに便利そうだけど、実際にどうやって始めればいいの？」という声を多くいただきましたので、今回は具体的な設定方法を、スマートフォンの画面を見ながら一緒に進めていきましょう。
作業時間は合計30分程度。今日の夕方には、あなたの整備工場でもLINE公式アカウントが稼働している状態になります。
本記事の前半はLINE公式アカウントのホームページ「LINE公式アカウントをはじめよう(https://entry.line.biz/start/jp/)」に沿って進めます。アカウントの開設に関しましては、ぜひこちらの公式サイトの記事もご参考にしてください。
PART1：アカウント開設編（所要時間：約20分）
「ログインできる」状態を作る
まずは、LINE公式アカウントを作成し、ログインできる状態にします。この段階が完了すれば、一旦休憩して後日続きを進めることも可能です。
ステップ1：LINE公式アカウントアプリのダウンロードと起動
1-1：アプリのダウンロード
まずは「LINE公式アカウント」専用のアプリをダウンロードしましょう。
iPhoneの場合： App Storeで「LINE公式アカウント」と検索 Androidの場合： Google Playで「LINE公式アカウント」と検索。または、下記からダウンロードしてください。
※重要：普段お使いの個人用「LINE」アプリとは別のアプリです。「LINE公式アカウント」という名前のアプリを必ずダウンロードしてください。
1-2：アプリの起動とログイン方法の選択
アプリをダウンロードして起動すると、ログイン画面が表示されます。ここで2つの選択肢が表示されます。
「LINEアプリで登録・ログイン」 お手持ちの個人LINEアカウントと連携して登録する方法です。
「メールアドレスで登録・ログイン」 メールアドレスで新規にビジネス用のIDを作成する方法です。
「メールアドレスで登録・ログイン」では、個人LINEアカウントとは完全に分離して管理でき、複数のスタッフで共有管理することも可能です。業務用として明確に区別できるため、こちらの方法をおすすめします。
次に、今から利用するアカウントの種類を聞かれますので、「ビジネスアカウント」を選択します。
ステップ2：LINE公式アカウントの開設（所要時間：10分）
2-1：メールアドレスの入力
「ビジネスアカウント」をタップすると、メールアドレスの入力画面が表示されます。
工場の代表メールアドレス、または管理者のメールアドレスを入力し、「登録用のリンクを送信」をタップします。
重要： このメールアドレスは、今後のログインやパスワード再設定に使用されますので、確実に受信できるアドレスを登録してください。
2-2：メール内のリンクから登録画面へ
入力したメールアドレスに「[LINEビジネスID] 登録用リンク」という件名のメールが届きます。メール内の「登録画面に進む」ボタンをタップしてください。
メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダもご確認ください。
2-3：パスワードの設定
登録画面が開いたら、ログイン用のパスワードを設定します。
- 8文字以上
- 英字と数字を含める
これらの条件を満たすパスワードを入力してください。このパスワードは今後のログインに必要ですので、必ずメモを取っておきましょう。
2-4：SMS認証
セキュリティのため、SMS認証が必要になります。お使いの携帯電話番号を入力すると、認証コードが届きますので、そのコードを入力してください。
これでビジネス用のIDの作成が完了です。
ステップ3：LINE公式アカウントの作成
3-1：アカウント情報の入力
ビジネスIDが作成できたら、いよいよLINE公式アカウントを作成します。以下の情報を入力していきます。
アカウント名 工場の名前をそのまま入力します。例：「○○自動車」「有限会社△△モータース」など。後から変更も可能ですが、お客様に覚えてもらいやすい名前にしましょう。
業種 「自動車・輸送機器」または「その他のサービス業」を選択します。
会社名 正式な会社名または屋号を入力します。
担当者名 代表者名または実際に運用を担当される方の名前を入力します。
3-2：ビジネスマネージャーの設定
2025年6月より、アカウント作成時に「ビジネスマネージャー」との紐付けが必須となりました。初めての場合は「新規作成」を選択し、組織名（工場名）を入力するだけで完了します。難しい設定は不要ですので、画面の指示に従って進めてください。
3-3：利用規約への同意
利用規約を確認し、同意にチェックを入れて「アカウントを作成」をタップします。
これでLINE公式アカウントの基本的な開設は完了です。
ここまでで約20分。一区切りつきました！
ここまで完了すれば、LINE公式アカウントのログインができる状態になっています。時間がない場合は、ここで一旦作業を中断し、後日PART2の初期設定に進むこともできます。
PART2：初期設定編（所要時間：約25分）
「お客様が使える」状態に仕上げる
アカウント開設が完了したら、次はお客様に実際に使っていただける状態に整えていきます。プロフィール情報の充実と、自動返信メッセージの設定を行います。
事前準備：用意しておくと便利なもの
初期設定をスムーズに進めるため、以下のものを準備しておきましょう。
必須項目
- 工場の基本情報（名称、住所、電話番号、営業時間）
あると便利なもの
- 工場のロゴ画像（スマホで撮影した看板の写真でも可）
- 簡単な工場紹介文（どんなサービスをしているか、一言で）
ステップ4：プロフィール情報の設定（所要時間：8分）
4-1：プロフィール画像の設定
アカウントが作成できたら、アプリのホーム画面から設定を進めていきます。
画面下部の「設定」をタップし、「プロフィール」を選択します。
「プロフィール画像」をタップして、工場のロゴや看板の写真を設定しましょう。ロゴがない場合は、工場の外観写真や、わかりやすい看板の写真でも構いません。
画像サイズは正方形（1:1）が推奨されているので、写真をトリミングして正方形に調整します。スマホのカメラロールから選択できます。
4-2：基本情報の詳細設定
同じプロフィール設定画面で、以下の情報も入力します。
ステータスメッセージ 工場の特徴を一言で表現します。例：「地域密着40年の信頼と実績」「車検・整備・鈑金まで何でもお任せ」など、30文字以内で工場の強みを表現しましょう。
住所 正確な住所を入力します。この情報は、お客様が工場を探す際の重要な情報になります。
営業時間 平日と土日の営業時間を設定します。休業日も忘れずに設定しましょう。
電話番号 工場の代表電話番号を入力します。緊急時にはお客様がこの番号に電話をかけることもあります。
4-3：背景画像の設定（オプション）
より見栄えを良くしたい場合は、背景画像も設定できます。工場内の作業風景や、整備中の車両の写真などを設定すると、どんな工場なのかがわかりやすくなります。
ステップ5：自動返信メッセージの設定（所要時間：10分）
5-1：あいさつメッセージの設定
お客様が初めて友だち追加をした時に自動で送信されるメッセージを設定します。
「設定」→「応答設定」→「あいさつメッセージ」の順にタップし、「編集」を選択します。
おすすめのメッセージ例：
○○自動車です🚗
友だち追加ありがとうございます！
【お気軽にご相談ください】
・車の調子が悪い
・車検の時期が近い
・事故でぶつけてしまった
・メンテナンスのご相談
📷写真を送っていただければ、状況を確認してアドバイスいたします。
営業時間：月〜金 8:00-17:00 / 土 8:00-12:00
定休日：日曜・祝日
お急ぎの場合はお電話もご利用ください
📞 0XX-XXXX-XXXX5-2：応答メッセージの設定（オプション）
営業時間外にメッセージをいただいた場合の自動返信も設定ができます。必要に応じてご利用ください。
一例として「応答設定」→「応答メッセージ」で以下のような内容を設定します。
営業時間外メッセージ例：
○○自動車です。
メッセージありがとうございます。
現在は営業時間外のため、翌営業日にご返信いたします。
【営業時間】
月〜金：8:00-17:00
土：8:00-12:00
定休日：日曜・祝日
緊急の場合は下記電話番号までご連絡ください。
📞 0XX-XXXX-XXXX
お気軽にお声がけください🚗5-3：キーワード応答の設定（オプション）
よくある質問に対して自動で回答するキーワード応答も設定できます。例えば「営業時間」「住所」「料金」などのキーワードに対して、自動で回答が返るように設定すると便利です。
営業時間への自動応答例： キーワード：「営業時間」「時間」 応答メッセージ：
【営業時間のご案内】
月〜金：8:00-17:00
土：8:00-12:00
定休日：日曜・祝日
ご不明な点がございましたらお気軽にお声がけください🚗ステップ6：初期設定の確認とテスト（所要時間：5分）
6-1：設定内容の最終確認
ここまでの設定が完了したら、一度全体を確認してみましょう。
- プロフィール画像は正しく表示されているか
- 基本情報（住所、電話番号、営業時間）は正確か
- あいさつメッセージは読みやすい内容か
- 応答メッセージは営業時間に合っているか
6-2：テスト運用の実施
設定が完了したら、実際にテストしてみましょう。
- 別のスマートフォン（ご自身や家族のスマホなど）から、作成したLINE公式アカウントを友だち追加
- あいさつメッセージが正しく表示されるか確認
- 簡単なメッセージを送って、応答メッセージが返ってくるか確認
もし家族のスマートフォンがない場合は、お客様に実際に使っていただく前に、信頼できる知人にお願いしてテストしてもらうことをおすすめします。
お疲れ様でした！これで初期設定は完了です。
ここまで完了すれば、お客様に友だち追加していただき、実際にメッセージのやり取りができる状態になっています。
設定完了後にやること
運用のコツ：アプリとWeb版の使い分け
LINE公式アカウントは、スマホアプリだけでなく、パソコンのブラウザからも管理できます。それぞれに得意な作業があるので、使い分けることでより効率的な運用が可能です。
スマホアプリの強み
通知機能 お客様からメッセージが届くとすぐにプッシュ通知が来るため、返信が遅れる心配がありません。営業時間内であれば、作業中でもすぐにお客様からの相談に気づくことができます。
操作の簡単さ 普段お使いのLINEアプリと同じような感覚で操作できるため、返信作業がスムーズです。写真の確認や送信も簡単に行えます。
外出先での対応 お客様のところへの出張修理や部品調達で外出中でも、スマートフォン1台でお客様とのやり取りが可能です。
Web版（ブラウザ）の強み
一部の高度な機能は、パソコンのブラウザ版でのみ利用できます。
アプリでは使えない主な機能：
- リッチメニュー（画面下部の固定メニュー）の詳細設定
- 友だち追加広告の設定
- 詳細な分析レポートの確認
これらの機能を使いたい場合は、パソコンから「https://www.linebiz.com/jp/login/」にアクセスして、同じアカウント情報でログインしてください。
使い分けのすすめ
アプリを使う場面
- お客様からの日常的な相談への返信
- 写真を使った状況確認
- 緊急時の対応
- 簡単なメッセージ配信
Web版を使う場面
- 詳細な設定変更
- 月次のメッセージ配信数や統計の確認
- 高度な機能の設定
小規模工場の日常運用では、ほとんどの作業がスマホアプリで完結します。まずはアプリでの運用に慣れ、必要に応じてWeb版を活用すると良いでしょう。
既存のお客様への案内
設定が完了したら、今週中に以下の方法でお客様にご案内しましょう。
来店時の案内 お客様が来店された際に、「LINEでも連絡ができるようになりました」とお声がけし、その場で友だち追加をしていただきます。QRコードを表示して、読み取ってもらうのが最も簡単です。
店内での告知 レジ周りや待合室に、LINEの友だち追加を促すPOPやQRコードを設置します。手書きでも構いませんので、「LINEで車の相談ができます」という案内を作成しましょう。
目標設定：最初の1週間で10名の友だち追加
いきなり大勢の方に使っていただこうとせず、まずは1週間で10名程度の友だち追加を目標にしましょう。これくらいの規模であれば、一人ひとりのお客様とのやり取りを丁寧に行うことができ、運用のコツも掴みやすくなります。
また、次回は整備工場だからこそできる友だち登録の増やし方についてご紹介したいと思っていますので、ぜひご参考ください。
よくある失敗とその対策
失敗例1：あいさつメッセージが長すぎる
問題点： 情報を詰め込みすぎて、長文になってしまう 対策： 必要最小限の情報に絞り、読みやすさを重視する
失敗例2：返信が遅くなってしまう
問題点： 営業時間内でも返信が半日以上遅れる 対策： 1日3回（朝・昼・夕方）のチェック時間を決める
失敗例3：プライベートと混同してしまう
問題点： 個人アカウントと間違えて返信してしまう 対策： LINE公式アカウント専用のアプリを使用し、アイコンで区別する
失敗例4：写真の確認方法がわからない
問題点： お客様から送られた写真の見方がわからない 対策： 事前にテストで写真の送受信を練習しておく
セキュリティと運用上の注意点
お客様の個人情報の取り扱い
LINEでのやり取りには、お客様の車両情報や個人情報が含まれる場合があります。以下の点にご注意ください。
- スマートフォンにはパスワードロックを設定する
- 他のスタッフとスマートフォンを共有する場合は、ルールを決める
- お客様の情報を第三者に漏らさない
バックアップとデータ管理
重要なやり取りについては、必要に応じて別途記録を残しておくことをおすすめします。特に修理の見積もりや、部品交換の承認に関するやり取りは、後から確認できるようにしておきましょう。
1週間後の振り返りポイント
設定から1週間経ったら、以下の点を振り返ってみてください。
数値的な確認
- 友だち追加数：目標の10名に達したか
- メッセージのやり取り数：何件くらいの相談があったか
- 返信時間：平均してどのくらいで返信できているか
質的な確認
- お客様からの反応はどうだったか
- 自分たちにとって使いやすかったか
- 改善したい点はあるか
次回予告：お友達登録を増やすたった一つの方法
今回でLINE公式アカウントの基本設定は完了です。しかし、本当の効果を実感するのは、利用者登録(お友達登録)がある程度増えて継続的な運用を始めてからです。
次回（第3回）では、LINE公式アカウントの最も大変であり、我々整備業界では気が付いてしまえば確実に増やすことができる「お友達登録を増やすたった一つの方法」としてお伝えする予定です。
まずは今回の設定を完了させて、1週間の運用を体験してみてください。きっと「こんなに便利なツールがあったのか」と実感していただけるはずです。